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2019年を振り返って

2019年のチベット問題

年に何度かしか更新しないこのブログが、こうやって年末に長文を綴ることができる場として機能していることを嬉しく感じています。誰に何の気兼ねもなく書きたいことが書ける、それが当たり前でない人々のことを思いながら何年も経ち、一向に改善されないその方々の現状に苛立ちながらも、香港において駆け引きの道具であることを承知しつつも、成果が出たことを嬉しく思ったこともありました。しかしながら、私が直接的に関わってきたチベット問題については、新たな焼身抗議の知らせを聞いたのみで終わってしまいそうです。

起業のご報告

私自身を振り返ってみると、この数年を凝縮した一年になったような気がします。随分前から忍耐強く、「やりたいことをやれ」という私の本質をついた指摘を続けてくれた坂口さんの助言もあり、今の仕事を辞めて起業しました。ただ、ここに至るまでに様々な形で色々な人の強い意思や決意を目の当たりにしてきたことも、臆病者の私が一歩踏み出すのに重要だったと思います。少し長くなりますが、書き出してみようと思います。

  • 今年で終わったOrange is the New Blackは、私の人生に大きな影響を与えた映像作品の一つになりました。女子刑務所を舞台とした群像劇で、様々な人々がそれぞれの困難に立ち向かう姿と、それを演じる役者たちに心底惚れ込んでしまいました。中でもNatasha Lyonneは、彼女自身の人格が役柄に見事に投影されているように感じ、その台詞を英語で聞いて学習することでさらに好きになるという好循環をもたらしてくれました。子供の頃にSuzanne Vegaで英語を勉強した時の再来です。
  • RuPaul’s Drag Raceも、多数のクイーン達の受けてきた凄まじい差別や暴力を乗り越えて挑戦し続ける姿に感服しました。この人たちがここまでできるのに、自分が座して不平不満と共に生きていくことを許すわけにはいきません。これまでの人生から全く違った人生への第一歩を、Mama Ruのこの曲と共に踏み出しています。
  • 過去の職場の同僚が何気なく教えてくれたFight Clubも、観るまではその良さがわからなかった映画でした。特に、これを勧めてくれたのが女性だったことで観る気になったことは私にとって大きかったと思います。もし男性が「男が素手で殴りあう映画」と紹介してくれたなら、単なる男性至上主義の映画としてしか捉えることができなかったであろうという意味です。そして、町山智浩のこの解説を聞いていたことで、OITNBの言いたいことを理解する素地が私の中に育まれていたと感じています。
  • 2019年は、Fab 5が日本に来た年でもありました。収録期間中にInstagram上での目撃情報がどんどん上がってきたことに感化され、なんとかして彼らとすれ違うことができないかと頑張ったりもしました。残念ながら叶うことのない願いでしたが、それでも番組の中で彼らが日本人に語りかける言葉は私の中に強く残りました。
  • 自由意志についてずっと疑問に思ってきた私にとって、JokerDark Nightも避けては通れない作品です。自分自身というものが存在するのか、自分の考えというものは存在するのか。これまた町山智浩の解説で視野が広がりました。

起業するからには事業内容を考えないとなりません。私がやりたいことを、ソフトウェアの開発を成功させたいことだと定義しました。そして、自らがソフトウェアを書くわけでもなく、自ら作りたくてたまらないものがあるわけでもない私は、その二者の橋渡しをすることに注力することにしました。これまでもこの仕事をやってきたのですが、一方の都合ばかりが重視され他方が犠牲になるということに辟易していました。ただでさえ優秀な技術者が不足している現状において、これ以上開発現場を軽視することで発注者側が得るものは何もありません。一方で開発側の都合により計画が遅延したりソフトウェアの品質が十分でないことによりビジネスに与える損害も無視できません。この損害は避けようと思えば避けられるものだけに、発注側はもっと「うまいことやる」ことが求められていますが、その具体的な方法は杳として知れません。この問題を解決することに、私の勝機があると感じました。

起業するにあたり、一番悩んだのは会社名です。Mama Ruの台詞からとってEleganza Extravaganzaにしようかと思いましたが、あまりにも抽象的すぎますし意味が分かる人が限られるし説明するのも面倒なので、自分が好きな日本語のひとつである「傾聴」にしました。開発側と発注側の双方のすり合わせを、意見を聞くことで進めていくという私の行動指針を社名にしたのです。何人かの方に名刺を渡して様子をうかがったところ同業の方からは好評ですが、ソフトゥエア業界にいない人からは「なんの会社で何をするのかわからない」というご意見もいただいたので、名刺を含めた広報においてこのご意見を念頭に置いて進めようと思っています。

幸いなことに年始から二つの案件を受注できており、これを成功させて会社としての実績を積み上げて、ゆくゆくは志を同じくする方と共に仕事ができればと思っております。

起業以外

生まれて初めて鈴鹿サーキットを走りました。といっても、レースではなく先導車つきで速度も限られているものです。ちーっとも面白くありませんでした。旅費を含めて三日間と数万円を費やすのなら、関東で開催されているスクールの方が自分の限界を知ることができてよほど面白いと分かりました。鈴鹿まで自走して往復し、せっかくなので三重県もすこし走ってから帰って来たため、復路一日で700kmぐらい運転しましたが、BMWの長距離ツーリング性能は本物であることを改めて実感できたことが収穫でした。来年はタイヤをミシュランのPILOT ROAD 4 GTにしてみようかと思っています。FTR223は、足として都内を駆け回ってくれました。ほぼオフロードに行かなくなったので、来年にはK180からTT100GPに履き替えて、チェーンとスプロケットを交換したいと思っています。

カメラは特に変更なく、今ある機材でセンスを磨くべく頑張ってみました。

旅行にも行きました。マダムと北海道を旅したり湯河原に行ったり、フジロックに出店したり、台風が直撃する直前の房総半島を回ったりしました。来年は、一仕事終えたら海外にふらっと行ってみたいなと思っています。

語学は、アメリカ人の友人と話す時間がかなりあったことと、OITNB の Nickyの台詞を必死になって聞いていたので、かなり上達してきた気がします。英語の電話が怖かった自分を遠く昔の出来事のように感じます。その友人は帰国したので、他に英語を使う機会を見つけないとせっかく上がった能力がまた落ちてしまいそうで怖いです。

バレエやクラシック音楽については、今年は金銭的理由もありあまり楽しむことができませんでした。しかし、緑のテーブルを見ることができたのはなによりでした。連れて行ってくれたマダムに感謝します。萩尾望都のポーの一族展に一度しか行けなかったのは残念でした。

映画はほとんどNetflixになりましたが、前出のJokerに加えてアムネスティ主催の海は燃えている上映会は意義深いものでした。一人の子供を通じて人間の愛と暴力性を同時にここまで描いていることに、深い感動を覚えました。Amazon Primeでみることができますので、こちらからどうぞ。https://amzn.to/2QyD0bB

来年の抱負

とりあえず進むしかないです。テーマソングは、臆病者の私でも進んでいくことをためらわないこの曲に決まりです。

最後になりましたが、いつも支えてくれているマダムに改めて感謝します。ありがとう。

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信頼できるサービスと価格

会社を立ち上げて、まず困るのが銀行口座である。私が起業するとき、具体的には登記する際に個人名の口座を新しく作ってそこに資本金を入れたが、売上を入金してもらうには法人名義の口座がほしい。実際に、社員一名のみの企業で個人名義の口座で業務を行なっている知人に送金するときに、経理から「本当に会社? 本当にこの個人名義の口座に入金していいの?」と問い合わせが来たこともあった。

創業間もない企業で銀行口座を開設することは難しいらしいが、私の場合は税理士さんに紹介してもらってメガバンクに口座を開設する予定である。企業後、取引は一つもなく、経費すら使っていない状況で、である。審査も数日で終わっている。

ところが、別の税理士さんから同じメガバンクについて「マネーロンダリング対策が厳しく、まず口座を作ることができない。」「どうしてもというなら紹介してもいいが、断られるかもしれないし、結果が出るまでに1ヶ月以上はかかる。」という話を同時期に聞いた。同じ銀行でこの差はどこから生じるのだろうか。

まず、私が契約している税理士の顧問料は、他の中小企業の相場より多少高額である。しかし、私の顧問税理士は「他の税理士法人から転職してきたが、ここの税理士法人のやり方だと会社が潰れにくい。それは〜〜。」としっかり説明してくれたし、今後1年間で絶対に出て行くお金、つまり税金の時期を顧問になる前からアドバイスしてくれた。顧問になった後も、事務担当とはchatworkで迅速にやり取りをしてもらえるし、質問にもすぐに答えてくれる。

一方、1ヶ月はかかると言っていた税理士の顧問料は、平均的なものである。多くの中小企業この相場でやっているよね、と言えるものである。つまり普段は仕分ばかりやってもらい、年に一度決算をしてもらい、会社の運営の相談は年に数回のみ企業側から働きかけた場合のみ、ということだそうだ。やりとりもメールで、顧問料の見積もりもすぐには出てこなかった。そういう速度感で経営者から働きかけないとアドバイスをもらえないとしたら、多忙に任せてキャッシュフローを見ることも、将来の売り上げ予定を追いかけることもなく、気がついたら現金が足りなくなり融資も増資も追いつかないということになるのである。

この差は決定的である。お金に関わることを常に相談することができ、会社の状況に応じたアドバイスを提供してもらうことで、ただのサラリーマンが経営者に育って行くのである。そのために顧問料を払うのなら、多少高額でも納得できる。仕分けだけやる税理士なら、会計ソフトの使い方をマスターすることでご用済みになるであろう。AI会計で税理士を解約しよう!なんて製品もでてくるかもしれない。一方、私は今の税理士との顧問契約を続けるであろう。単なる仕分担当ではないアドバイスをもらえること、信頼できるコネクションがあること、そんな本物の「プロフェッショナル」が提供するサービスは、自ずから高額になるのである。