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2018年を振り返って

Netflix

WIREDでNetflixのオリジナル番組の一つとして「クイア・アイ」が紹介されていたのを読んで、なぜか強く惹かれました。月額の固定費用が増えるサービスは可能な限り契約してこなかったのですが、ついにNetflixを契約して観てみると、こんなに面白い番組はないと思える仕上がりでした。リアリティ番組は好きでなかったのですが、クイア・アイは違いました。決まり切ったストーリー、少し不自然な自己肯定感を認めるセリフ、本人の能力を超えるインテリア改造など、一つ一つの要素を取り出してみるとダメな感じなのですが、何故か面白いし、泣かされてしまいます。ゲイの五人の魅力が素晴らしいのも要因の一つとしてあるとは思いますが、改造される側の抱えている問題が自分と近く感じるように演出されているため自分を投影しているのでしょう。

これに続いて時代設定が80年代である女子プロレスドラマの”GLOW”を一気に観て、まだクイア・アイしか視聴履歴がないのにMTV世代のオッさん直撃の番組を勧めてくるNetflixのエンジンの優秀さに舌を巻きました。今は町山智浩が以前紹介していた”Orange is the new black”を必死に時間を作ってみています。これも登場人物の語るセリフと設定された背景が素晴らしく、登場人物の一人一人に強く感情移入してしまいます。

Netflixの良いところは、映画館に行かずとも映画を観ることができることです。今の映画館の観客のマナーは酷いし、一回1800円も払って不快な思いをしながら当たるかハズレかわからない映画を観に行くより、家で快適なヘッドホンをつけてでかいiMacで楽しむほうがよほど快適だと実感してます。なんでもっと早くNetflixを契約しなかったんだろう、そう悔やまれるくらいNetflix廃人になってしまいました。もう映画はIMAXで観るか、Netflixに入ってから観るか、観ないかの三択になりそうです。

カメラと技術

図書館に足繁く通っていると、「リサイクル本」というものが無償で提供されているのに気づくことでしょう。貸し出されなくなった古い本を処分しているのだと思われますが、ここで北海道の山の専門誌「北の山脈」を見つけました。ここに載っている冬山の写真がものすごく美しく、心の底から素晴らしいと思えるものでした。1970年代のこの雑誌に載っている写真は、カメラが電池なしで動いていた時代のものです。「解像感」とか「階調表現」を追い求める今のデジカメの基準からすると、荒いし階調もそんなに豊かではないので人物は暗く潰れてしまっている写真ですが、そんなことはどうでも良いと気付かされました。フォーカスも絞りもシャッター速度もフィルムの選択も全て自分で考え手動で設定し、凍りつく雪山の上で構図を考え、そこにエッヂで雪を跳ねあげながら降りてきたスキーヤーを捉えた写真は、確かな技術と情熱と積み上げられた経験がないと撮れないものだと分かりました。この写真を見るまでは「フルサイズのミラーレスが市場を席巻してる!」と不安な気持ちになっていたのですが、パートナーの「(作品の良し悪しは)機材じゃないねぇ」という指摘もあり、当面は入門機であるEOS 8000Dで頑張ろうと思いました。この写真に巡り会わなければ、今頃はEOS Rに乗り換えていたかもしれません。

チベット

例年の行事に加えて、International Tibet Network主催のアジア地域ミーティングが東京で主催されました。準備にあまり携わることができなかったのですが、多数の友人と再会することができて嬉しかったです。

テンジン・デレク・リンポチェの姪のニマ・ラモを招待しての全国ツアーも実施されました。中国に人権などない、それを改めて感じました。

フジロックにも昨年に引き続き出店しました。シンギングボウルの体験をしていただく企画を考え、色々な人に楽しんでいただきました。特に手にビリビリくる感覚は新鮮だったようで、老若男女問わず素敵な笑顔をたくさん見ることができました。

チベット人写真家つながりで知り合ったカリグラフィー作家の作品も買うことができました。チベット文字のカリグラフィーだと顔文字にも使われていて馴染みがあるかもしれませんが、その技法を絵に応用した作品はとても格好良く一目で気に入ったものです。いわゆる衝動買いというやつですね。

またチベット人のおばあちゃんを日本に招待するということも行いました。日本に来たいおばあちゃんのビザ発行のために私が身元保証をするという経験です。我々日本人は日本人であるというだけでほぼどの国にも短期滞在が認められます。しかし国籍を持たないチベット人にとっては海外旅行をすることはかなり難しいものなのです。これは言葉で書けば単純なことですが、国籍がないということはどういう事か、どのような制約が生まれるのかを私は直接に経験することができました。そして、せっかく日本に来たのだからおばあちゃんを東京一美味しいビストロに招待したのですが、おばあちゃんはチベット料理を食べたがっていて、なかなか難しいものだと思いました。

イベントなど

大原ケイと北丸雄二のトークにいったり、モーターサイクルショーで風間深志に遭遇したり、ライナー・キュッヒルのコンサートに行ったり、三年に一度の世界バレエ大会を見たり、ヤマハのイベントに行ったらキング・ケニーのサインをもらうことができたり、今年も充実していました。生まれて初めて2000GTとLFAのエンジンサウンドを聞くことができて、特にLFAについてはまるで楽器のように歌うエンジンが素晴らしかったです。

仕事

昨年に引き続きクライアントに恵まれ、新しい領域への挑戦をすることができました。仕事仲間から大親友になった人と、改めて一緒に仕事をすることもできました。過去の仕事に関する重要な情報と意見も入手することができました。友人の仕事が危機的状況に陥った時も、話をすることで(きっと)良い方向に進んだと信じています。

一つ気になったのが、「それでいくら儲かるの?」と聞くお客様と、「今やるべきことをやってみよう」というお客様とに二分されてきていることです。「いくら儲かるのか」というのが気になるという気持ちはわかるのですが、「確実に儲かる」なんて詐欺師でも言いません。費用対効果でもROIでも同じこと、これに執着していては敵に先を越されてしまいます。ここが分かっているお客様と、分かっていないお客様に二分されてきているような気がしました。

やり残したことと2019年について

やりたいことが一つ見つかったので、それに向けて身軽になるための準備を進めていたのですが、そうは問屋が卸してくれません。ですが、諦めずに一歩ずつでも先に進むしかないと思っています。