こんな面白いTVドラマがこの世にあるなんて!
女性が蔑まれ、人種同士がいがみ合い、アメリカが国境に壁を作る2018年に、1980年代のファッション・インテリア・映像演出方法でここまで問題を浮き彫りにすることができるのはすごい。そこには、人間の根源的な生理による変わらぬ問題が存在し続けるという冷酷な事実と、そこに立ち向かう方法が見事に描かれている。説教くさくなく、コメディとして。現在を生きていくために立ちはだかる障害を彼女たちが超えていく様を見て、生きていく糧を得るため。
S2/E10の最後に取ってつけたような新キャラが出てくることで物語が進展するのが興ざめだが、その伏線がずっと前から張られていたことを考えると、人気が出てきたから物語をエンドレスに続けられるようにしているとも思えない。話の巧みさに驚愕する。主人公のルースとデビーが幸福を奪い合い与え合う親友であるという設定に基づいた口喧嘩も、Welfare Queenが本気で傷つく姿も、全ての登場人物にドラマがある。S2/E10で男どもはレスリングを演じているが、それもGorgeous Ladiesがあまりにも本物であったが故のことだろう。とにかく痛快。
また考えを整理して書きつけたい。こうして書いてみると、町山智浩というひとは本当に素晴らしい評論家だ。